祭のはなし 001

先月末は地元のお祭りだった。
この時期になると思い出す、中学生時代の出来事。


我々男子のあいだでは、お神輿を担ぎ「ぜいや・おいや」と大声を上げ、翌日の学校で声が嗄れていることがステータスだったのだ。


ある年のお祭りの翌日、同級生のタケシ君(実名)が廊下で
「い゙や゙〜〜ごえ゙がれ゙ぢゃっでよ゙ぉ」
と自慢げにクラスメイトと会話をしていた。


そんな折に後方から「おーい、タケシ!」と彼を呼ぶ声。
瞬間、「んっ?」と声変わり前のクリアーな少年ボイスを発するタケシ君。


しゃがれ声を演じていたのが、不意の呼びかけへの返答でバレてしまったのだ。
タケシ君を含めその場にいた全員が「あ…」と理解をしてしまい、気まずい空気が流れた。




それからしばらく、「時すでにタケシ」というギャグがクラスで流行ったのだった。