村主『その時は』

 いきなりのaiko評に面食らい、「マガタマの曲線のように」という直喩に痺れた。この表現はオリジナルなのだろうか? かっこいいぞ。
 ルックスをスキー場そのものに例えられてしまった広瀬香美評は、アイロニーとも違って単純に酷くておもしろかった。


 アートディレクションなるものを言語化したら意外と本当にこんなもの(デザイン〜〜〜日々なのだ。)なのかもしれない。
 ところで、BOSSなのがよかった。これがサンガリアだとブレてしまっていた。


 主人公の感性と現状の描写に文章のほぼ全てを割いての最終盤。
 世間よりワンランク上の景色が見えている自覚もある。(aiko
 でもそんな世間野郎の要求にうまいこと応えられていない。(リンゴ酢)
 それどころか世間のほうから自分が認知されていない(苦笑)(Z会
 文章のボリュームは50:49:1くらいかもしれないが、この1がビビッドカラーの挿し色となっている。


 最後の一文になってようやく「その時は」という言葉が登場し、この短編のタイトルであることを思い出したわけだが、なるほどこれでよかったなぁ、と。
 ひょっとしたら作者は書き上げてからテキトーにピックアップしたのかもしれないが。
 狙いであれ、非意図的であれ、筆才を認めざるを得ない。