短編小説集【OUT】

村主『OUT』

書き出しは、いちばん普通の小説っぽかった。 (ネットで知り合ったアイドル好き仲間と都会の駅で待ち合わせるというシチュエーションがチョット個人的な経験とオーバーラップして、フラットに読み進めることができなかったのだが。) リスペクトし合える人…

村主『日常』

第一声は「♯つかぽんの日常 じゃねぇか!」 それはさておき、これだけ並ぶとなかなか壮観である。まとめて読むと、その世界に確かに存在するつかぽんの好感度がグンと上がる。 今というタイミングもよかった。 思春期の女の子の無邪気な様子、ひとつの出来事…

村主『まるで嫌がらせ』

冴えない日々を送っている男の、衝動的な小旅行。 旅館の様子、そこに至るバスの様子、また旅館の様子、再びバスの様子、さらに幼い頃の出来事を思い出し、あまつさえ余計な想像までしてしまう。主人公の思考の散乱具合が巧みに表されている。 構成はそれと…

村主『その時は』

いきなりのaiko評に面食らい、「マガタマの曲線のように」という直喩に痺れた。この表現はオリジナルなのだろうか? かっこいいぞ。 ルックスをスキー場そのものに例えられてしまった広瀬香美評は、アイロニーとも違って単純に酷くておもしろかった。 アート…

村主『ブラジルの季節』

まず、喫茶店の描写が好きだ。 「二十代の店員の女」の存在を筆頭とした、“喫茶店を構えること”がゴールだったんじゃなかろうかと思わせる、行き届いていない店内。 中でもバンジョーや消臭元といったディテールが色を決定付けている。 無論、アイテムのチョ…